要件定義

【テンプレ付】一発で通すシステム企画書の書き方をプロが解説

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「どうしたら効果的なシステム企画書が作れるだろうか」

こんな悩みをお持ちではないだろうか。

システム企画書はシステム開発における出発点である。システム開発の開始を社内で承認してもらうためには、決裁権のある人に対してあなたが提案するシステム開発が「今行うべき重要なものである」と認識してもらう必要がある。その際に利用されるのがシステム企画書だ。

システム企画書は、システム開発の開始を社内で承認してもらうためにとても大切な資料だ。そのため、あなたが提案する内容がどれほど重要なのかを効果的にわかりやすく読み手に示すことがとても大切だ。

この記事では、効果的なシステム企画書を作成する方法をポイントを具体的なサンプルを示しつつお伝えする。この記事の内容が、読者の方の作るシステム企画書の質のブラッシュアップに役立ち、一つでも多くの素晴らしい企画が承認される一助になればと思う。

1. 一発で通るシステム企画書のテンプレ

まずはテンプレとなる企画書を示す。

ワーケーションプラン紹介システム企画書

必要に応じて、以下のリンクからダウンロードしてもらいたい。
ワーケーションプラン紹介システム企画書

2. システム企画書に必要な5項目(テンプレをもとに企画書を作る)

ここからは、前章で紹介したテンプレをもとにシステム企画書において必須となる各項目の解説を行っていく。

2-1. システム化の背景・目的

システム化の背景と目的では、そもそもどういう背景・目的からこのシステム企画が行われているかを簡潔に説明する。

テンプレでは、ビジネスのこれまでの変遷と今後向かっていくべき目標の方向性を述べている。

ここでのポイントは、これまでの背景や現状の状態と目標を明確に示すことだ。ここで示す背景がいわば現状にあたる。また、目標が目指すべきポイントだ。このギャップを埋めるために、続く章で課題を定義する。つまり、課題を定義するために始点と終点を明確にし、認識を合わせることが重要なのだ。

2-2. 解決すべき問題・課題

解決すべき問題・課題では、向かうべき目標に対して何が課題となっているのかを定義する。

この際にポイントになるのは、課題の種類を「業務レベル」と「業務の仕組みレベル」に分けることである。これをすることで、以下のような良い点がある。
・課題がどれくらい重要な問題なのかを認識しやすくなる。
・この後に出てくる「課題の解決策と効果」の章で、効果を的確に算出することができる。(後述)

業務レベルの課題とは、2-1であげた目標の達成を阻害しているものを指す。業務の仕組みレベルの課題とは、業務レベルの課題を生み出してしまっている業務上の仕組みの課題である。

例えば、テンプレの例で言えば「効率的な新規顧客の集客ができていない」が業務レベルの課題である。そして、「現状は、同様のウェブマーケティング施策を全てのサイトで同時に行っている。」が業務の仕組みレベルの課題である。

これらを同列で記載してしまうと単なる事象の羅列になってしまう。その結果、それがなぜ課題なのかどれほど重要なのかというのが伝わりにくくなってしまう。

例えばテンプレでいうと、以下の内容は確かに問題がありそうだが、それがどれくらい大きな問題で、解決する温度感がどれくらい高いのかがこれだけではわからない。
・現状は、同様のウェブマーケティング施策を全てのサイトで同時に行っている。

業務改善系のシステムではない場合も例としてあげておこう。例えば、共働きで育児をしている家庭向けの家事管理アプリを作る場合を想定する。

家事管理アプリの場合だとその理解しづらさがより顕著になる。例えば、以下の3点だけを挙げられたとしてもそれぞれがどれくらい大きな問題なのかは把握できない。

しかし、業務レベルの課題と紐づけて指摘されるとその重要性が明瞭になる。

2-3. 課題解決のポイント

課題解決のポイントでは、課題を解決するための方向性や外せない視点をあげる。これは、具体的な施策の内容に入る前に方向性の認識を合わせる目的と論理的な飛躍を防ぎ解決策の可能性が狭まることを防ぐ目的がある。

テンプレの例で言えば、具体策に入る前に大枠の方向性として以下の二つを挙げている。
・サービスの統合
・都道府県を跨いだ宿泊予約の簡易化

2-4. 課題の解決策と効果

課題の解決策と効果では、具体的な解決策とその効果を定量的に示す。ここで示す解決策がシステム開発における要求につながる。また、効果の定量的な数字がこの案件の投資効果になる。

今回の例では、解決策を2つ用意し、それぞれで合計約700万円の売り上げアップが見込める試算だ。
・解決策1:月間28万円 x 12ヶ月 → 年間346万円
・解決策2:年間360万円

2−2で課題を業務レベルと業務の仕組みレベルに分けた。ここで挙げる効果は、その業務レベルの課題を解決した際の効果として算出することができる。

反対に、業務レベルの課題を特定せずに事象の羅列になってしまっていた場合や、業務の仕組みレベルしか特定できていなかった場合は、効果的な効果の算出はできない。

2-5. 解決策の実行計画

解決策の実行計画ではガントチャートを作成し、システム開発における大枠のフェーズごとの期日を記載する。

これがあることで、企画の完成までにどのような工程があり、それぞれの工程がどれくらいの期間で終わるか、プロジェクト全体としてはいつ完了するのかが明確にわかる。

まとめ

システム企画書の書き方をサンプルを交えながら説明してきた。

システム企画書の基本となる考え方は十分網羅できていると思う。

それぞれの提案したい内容に合わせた企画書を作成する一助になれれば幸いである。

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