エンジニア

エンジニアとしての市場価値を劇的に上げる3つの能力

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「エンジニアが市場価値を上げていくにはどうしたら良いのだろうか?」

こんな困り事はないだろうか?

筆者もエンジニアを始めて2〜3年目の時は、頻繁にこの悩みに直面していた。と言うのも、エンジニアと一口に言っても、そのキャリアパスはさまざまであり、それに伴って必要になるスキルもバラバラだからだ。

でも安心して欲しい。この記事では冒頭のような悩みや不安を抱えるエンジニアの方向けに、市場価値が高いエンジニアにはどういう特徴があるのか、またそういった特徴を身につけることでどういったキャリアパスが選択肢としてありうるのかを詳しく解説する。

1つ目 エンジニア領域以外の知識が豊富(特にビジネスの知識)

まず、市場価値が高いエンジニアの特徴の一つ目は「エンジニア領域以外の知識が豊富(特にビジネスの知識)」だ。

担当領域を越境できるエンジニアは圧倒的に強い。例えば越境とは「エンジニアxビジネス」「エンジニアxデザイン」などだ。そして、それがビジネス分野であると尚更だ。

さらに、その時に短期的な視点だけではなく、中長期的な視点で話ができるとなおさら市場価値が高い。

ビジネスサイドもわかるエンジニアがなぜ強いのか
エンジニアは必ずビジネスサイドの人と関わって仕事をする。そして多くの場合、システム開発の流れというのは大まかにいうと以下の通りだ。
「ビジネスサイドの人がシステムなどの数字から課題を見つけ出し、解決策を考え、それをエンジニアに共有し、エンジニアがその改善方法を実施する」

この時、違う領域の人が交わるところでコミュニケーションコストが一番高くなる。つまり、ビジネスサイドの人がエンジニアに改善案を共有するタイミングだ。

そのため、エンジニアがビジネスサイドの話に対する理解力があるとコミュニケーションコストが圧倒的に下がる。その結果、改善策の共有にかかる時間や手間が減る。すると、改善策の考案から実行までの期間を短くできたり、ビジネスサイドの人がより多くの時間を課題発見や改善策の考案に割くことができて、プロダクト改善のスピードと質が向上する。

エンジニアのビジネス理解力がさらに高まると、ビジネスサイドの人と改善策ベースではなく課題ベースで話し合うことができるようになる。こうなると、プロダクトの成長について感度の高い人間がチーム内に増えること自体が価値になる。さらに、「プロダクトの課題xエンジニアリング観点」でゼロベースで考えることで出せる改善策の質と量も圧倒的に増える。そのため、改善策の質が自然と向上する。

例えば、一般的なメディアサイトを作っているとしよう。その中で、検索機能が欲しいという要望があったとする。その際、ユーザーには以下の二つの方式で検索できるようにしたいと思っていたとする。
・フリーテキスト検索(自由記述)
・カテゴリなどのタグ検索

この時、エンジニアであればフリーテキスト欄に入力するだけで、カテゴリなどのサジェストも行うことができるという提案ができる。これによって、UIがすっきりするのでメインのコンテンツが見える領域を確保できるし、検索に興味がない人に対しては余計なものを見せるという無駄が省ける。

中長期で話ができるとなぜ強いのか
エンジニアが中長期的なビジネス観点を持つことが、より良いプロダクトの開発や設計につながるためだ。

つまり、中長期的にビジネスモデルを含めてビジネス要件を見通すことができれば、それを中長期的な開発のロードマップに組み込むことができる。

例えば、経営者向けのプロフィールサービスを作りたいと言われたとしよう。ただし、「最初はこのサービスが当たるかわからないため、コストを抑えて作りたい」とも言われたとしよう。

この場合、中長期でビジネスについて語ることができれば、以下のような提案や想定を持てるはずだ。

2つ目 中長期的にコストを最小化出来るシステム設計力

次に、市場価値が高いエンジニアの特徴の2つ目は、「中長期的にコストを最小化出来るシステム設計力」があることだ。

エンジニアが書くソースコードは年月とともに分量は増えるし、複雑さを増していく。そういった複雑になったソースコードのことを技術的負債と呼ぶ。技術的負債があると、綺麗な状態であれば半日で終わるような改修に2〜3日かかってしまったりする。また思わぬ1箇所の修正が思わぬところに影響していて、バグが発生しやすくなったりする。

そのため、こういった技術的負債が発生しない設計をしたり、もしくは発生しても傷口が大きくならないタイミングで適宜改善計画を立てていけるスキルが必要になる。

技術的負債を一気に返そうとすると、負債が大き過ぎて改善に長い期間必要だったり、改善するまでの期間に思わぬバグが発生する確率も上がるからだ。コードも綺麗な状態を保てるのでチーム全体としての開発生産性も高くなる。

例えば、前職で掲示板サービスを運営していたときの話だ。投稿の検索機能が煩雑になりすぎているという課題があった。

この機能はサービス開始から5年間にわたって、要件の変更に伴ってコードがつぎ足され続けていた。また、この機能はサービスの根幹でもあったため、ここのコードを変更すると複数の画面に影響が出るだけではなく、KPIで管理していた数字の計測にも影響が出てしまうことがわかっていた。

この検索機能の改善のために、チームのトップレベルのエンジニアが3ヶ月かけてアサインされていた。その間、同じファイルへの変更は極力避けていたため、サービスの改善自体も止まってしまった。

これを考えると、大きな改善をするのではなく以下のどちらかの選択肢を取れるテックリード的な存在は重要だ。
・気づいた段階で計画的に改善を実施できる
・そもそも負債にならないような設計を考えられる

3つ目 3名以上のチームをまとめられるマネジメント能力

最後に、市場価値が高いエンジニアの特徴の3つ目は、「3名以上のチームをまとめられるマネジメント能力」があることだ。

なぜなら、エンジニアは一人で仕事をすることはほとんどなく、開発チームで動くことが多いからだ。

より生産性を上げるためには、チーム全体での最適な動きから逆算して自分の動きを考える必要がある。この場合、チーム全体での最適な動きを考えるためには、現状のチームメンバーのスキルと今ある案件を合わせて考える必要がある。

例えば、あなたのチームに以下のような状態のメンバーがいるとする。
Aさん:10年目のベテラン。なんでもできる
Bさん:あなた。5年目。Aさんほど作業は早くないが、ドキュメントを読んだりすればなんでもできると思っている。
Cさん:2年目。コードを書くのには慣れてきた。ただ、DBの変更などが含まれるとちょっと不安がある。

この時、以下のような案件があったとしよう。

案件名概要詳細工数

DBの載せ替え+データ構造の再構成。今あるDBはプロダクトの初期開発に特化したものであり、簡易的なDBだったので、RDSに載せ替える。
また、データ構造は簡易的なDBの構造に合わせていたので、再度構造を考え直す。
2ヶ月
社内の数字計測用に使っているスクリプトの修正1週間
その他の保守・質問対応
随時発生するたびに対応する
1日〜の物が多数

この時、あなたならどういうタスクの配置にするだろうか。

私の場合は、チームの底力を上げることを最優先にする。そのため、案件1をCさん(メイン)+Aさん(サポート役)でアサインし、自分は細々としたタスクを片付けていく。

【能力別】年収1000万円も目指せる?エンジニアとしてのキャリアプラン

この章では、前の章で紹介した市場価値が高いエンジニアの特性別のキャリアパスを簡単に紹介する。

PdM

まず、ビジネス観点が強いエンジニアであればPdMとしてプロダクト全体のマネジメントを行うパスがある。

これは一つの事業全体に対しての責任者の立場だ。具体的にやることとしては、プロダクトやサービスの開発〜販売までの戦略を立てて様々な意思決定をする。

大手転職サービスであるDODAが運営している以下の記事によると、年収は700〜1,000万円ほどの求人が多い。
プロダクトマネージャー(PDM)の年収は? 求人事例で紹介 | 仕事内容や必要なスキルも解説

テックリードやCTO

中長期的にコストを最小化出来るシステム設計力があるエンジニアであれば、テックリードとして一つのチームの技術の中長期の戦略を練ったり、CTOとして全社レベルでの技術戦略を練るという役割ができる。

テックリードの年収は、エンジニアの転職に特化したサービスを展開しているGeeklyの以下の記事によると、550〜700万円ほどの求人が多い。
テックリードとは?役割や年収事情を転職エージェントが解説

また、CTOの年収は、こちらもエンジニアの転職に特化したサービスを展開しているHiPro Techの以下の記事によると、800〜1,000万円ほどの求人が多いらしいとされている。しかし、企業の規模によってこれは大きく上振れると思われる。
CTOの年収相場とは。CTO不足の解決策と併せて解説

エンジニアマネジャーやVPoE

次に、3名以上のチームをまとめられるマネジメント能力があるエンジニアであれば、マネジメントとして一つのチームを率いたり、VPoEとしてエンジニア組織全体(複数のエンジニアチーム)を人の観点から率いることができる。

これはエンジニア組織の運営や育成などを行う立ち位置だ。具体的には、採用、育成、評価、配置を戦略的に行う。

VPoEの年収は、エンジニアの転職に特化したサービスを展開しているGeeklyの以下の記事によると、500〜900万円ほどの求人が多い。

VPoEの年収について解説!仕事内容や向いている人の特徴は?求人例を元に転職エージェントが紹介します

まとめ

市場価値が高いエンジニアを3つのパターンで区切り、それぞれの特徴とそうなった先のキャリアプランを見てきた。

この記事が読者の方のエンジニアとしての市場価値を高めるための手助けになれば幸いである。

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